君とそこら辺の石ころについて語り合いたいのだけど




お姉ちゃん、スケバン、見たかった。
その言葉の真意はあたしだけが知っていた。

事故が起きる当日の朝、スケバンの女子高生が出てくるドラマを祖母が懐かしいと言って見始めていた。

正直面白さが分からなかったし、テレビを占領されていることに不満をもっていたあたしだったが、妹の咲希は好奇心をその瞳に含ませて朝ごはんを食べながらテレビを眺めている。

「これ、面白い?咲希」

「面白いよ、スケバンってなんか強そうだよね」

「強いからスケバンやってんでしょ、この人たち。てかただのヤンキーじゃん」

「じゃあお姉ちゃんと私は無理だね」

「なんでよ」

「私は力弱いし、お姉ちゃんは泣き虫だし」

「なっ!」

「泣き虫じゃないし」と強がってそう言っているが事実あたしはよく泣く。ドラマや映画でも泣くし、本音を言おうとすると涙が込み上げてくることもある。
恥ずかしいから感情を昂らせないようにいつも必死だった。

「あんたたち、学校遅れるからさっさと行きなさい」

母親が台所からでてきてあたしたちにそう言う。最後のひとかけらの食パンを口の中に放り込み、あたしと咲希は通学鞄を片手に家を出た。

妹の咲希は優秀。受験をして中高一貫校に進学した。
あたし、頭もよくないし地元の友達と離れたくなかったのですぐ近くの中学に行った。

咲希は中学2年、あたしは中学3年。

来年は高校生にもなるため、真剣に進路のことも考えなければならない。
まあ、両親はあたしより咲希に期待しているような気がしたので咲希には申し訳ないけど少し楽な気持ちになっている。

隣で品のいい制服を着こなしている咲希をみながらそんなことを思った。

中学は別のところに通っているため、駅の近くまで一緒に通学するのが毎日のルーティンである。


「ねえ、お姉ちゃん」

「ん〜?」

「スケバン、帰ったら2人でやってみない?」

「え〜」

「いいじゃん!ほらコスプレの衣装なら安く売ってる場所あるでしょ」

「嫌だよ、なんのためにそんなことすんの」

「弱っちい姉妹でしょ、見た目だけでも強くなってみたいじゃん」

「姉妹って…あたしも弱っちいに入ってんの?」

「そりゃもうどっぷり入ってるよ!姉ちゃんの戦闘力なんてね」

「うーんと」と少し悩むように地面に顔を向けた咲希。何を言われるのだろうかと静かに咲希を見つめる。


「そこら辺の石ころだね!」

「言ってくれるね妹よ」

泣き虫だからと言ってイコール弱っちいなんて思わないでもらいたい。まあ、咲希からすれば冗談半分で姉をいじり倒しているのだろうが…こうなればやるしかない。


「あんた今日塾でしょ」

「うわ、そうだったあ」



「帰ったら覚えときな、最強のスケバンがお出迎えしてあげるから」