君とそこら辺の石ころについて語り合いたいのだけど




うじうじしていると、ややイラついたような手のひらが私の背中を押した。

「早く行きなよ」

「でも、練習中みたいだし」

「部活中なんだから当然でしょ」

戸の中からは流行りの曲のカバーが聴こえてきている。強めに私の体を押して前に進めようとする力に反抗するように私は背中に体重をかける。


「そ、そういえば、今日は図書委員の仕事があって、もう行かないと」


「演奏頼むだけなんだから、終わってからでいいじゃん、早く行けってえ!」

「ひええ」


やってきたのは軽音学部の部室である。

文化祭の有志バンドに参加する場合、楽器も何も弾けない私にとって協力をしてくれる人が必須であった。

そこで頼ったのが軽音学部である。

戸に押しつぶされそうになって私は開けざるおえない状況になってしまった。
転びそうになりながらも中に入り、後ろを向くと戸がぴしゃんと閉まった。西之宮さんは中には入ってこない。

つまり、1人でこのミッションをやりとげないといけないのだ。

「びっくりしたあ、何誰」

演奏が止まり、いきなり入ってきた私に驚いている軽音学部の女子部員たち。

ギターが2人おそらく1人はボーカルも兼ねている。そして、ベース、ドラムが1人ずつ。

「あ、あの」

「あれ、北島さんじゃん」

ドラムの子は私と同じクラスだったため、驚きながらも私に方に駆け寄ってきてくれた。
名前は確か、溝口さんだ。

「どしたの、部屋間違えた?」

溝口さんのその問いに首を横に振る。まあそう思うのも無理はない。私がメタル好きということはこの学校で西之宮さんしか知らないのだから。


「あの、皆様に1つお願いがありまして」

ごくりと唾を飲み込む。

おそらく断られるだろう、だって友達でもなんでもないのにやりたくもない音楽をやらされるんだから。
断られたらもう諦めよう、所詮私は根暗女なのだから。

「わたくしの好きな音楽のジャンルは、メタルでして」

案の定「メタル?」とその場にいる4人の言葉が重なった。こいつ、何言い出すんだと身構えている。


「文化祭で、メタルを歌いたいんです」


だから、だから、どうか、


「一緒に、ステージに出てはいただけませんでしょうか」