君とそこら辺の石ころについて語り合いたいのだけど



「あたしさ、思うんだよね」

オレンジ色の光に西之宮さんの顔が照らされている。トサカみたいに立っている前髪が風でゆらゆらと揺れていた。


「あたしたちって、結局そこら辺に転がる石ころなんだって」


ーーー私は、そこら辺に転がる石ころだ。

私もそう思ったことがある。隕石みたいに大きくてドカンとどこかに落ちて砕けただけかもしれないかけら。蹴り飛ばされても、わたしは大きな存在だと自身が信じて疑わなければ石ころだって救われる。
そう思っている。


「小さな石ころでも、大きな可能性を秘めてるということですね」

「おお、意外とポジティブ」

「え、そういう意味じゃなくて?」

「いや、いいんじゃね別に」


西之宮さんは私の近くまで歩いてきて、手に持っている箒を奪いギターのように抱えた。


「文化祭でやるのどう?」

「え?」

「メタル」

西之宮さんは人差し指と小指を立てて手の甲を私の方に向けるとべっと舌を出した。
文化祭でやる、メタルを。


「むっ、無理だよ!学校でやるなんてなおさら無理!周りの人たちになんて言われるか!」

「あんたって度胸あるのかないのか分かんないやつだね」

「だって、こんな根暗女…」


「何が根暗だよ、心の中メタルまみれのくせに」


西之宮さんの手が箒の端で動く、指先と箒の端がすれる些細な音しか聴こえないのに最高にロックだと思った。


「西之宮さんも一緒にメタルやってくれるってこと?」


「いや、それはやんない」


「やらへんのかーい」


オレンジ色に染まる教室に下手くそな関西弁ツッコミが響いた。