君とそこら辺の石ころについて語り合いたいのだけど






「何も聞こえねえ」

スケバンと風紀委員が入っていった部屋の隣を確保をした俺たち。
原田は壁に耳を当てて怪訝な顔をしている。

俺もコーラを一口飲んだ後、原田と同じようにスケバンたちがいる方の部屋側の壁に耳を当てた。本当に何も聞こえない。

「何やってんだろうね」

俺がそう言うと、原田はにやりと笑う。

「いかがわしいことやってんのかな」

「やめろよ」

呆れてため息をついた俺は壁から耳を外し、再びコーラを飲み干す。ドリンクバーつきのため元はとらねばと俺は立ち上がって部屋を一度出た。

どうせならソフトクリームでも食べようかな、ものすごい渦巻きをつくって原田に自慢しよ。なんてそんなことを思っているとすぐ近くの扉が開いた。


「今日はどうする?」

「どうしても買いたい服があって、あとコスメも見たい」

「いいけど、毎回それ言って爆買いしてさ、なんでそんな金あんの?」

「今までのお小遣い使い道が分からなくて全部貯めてたんだ」

「ふうん」


俺の後ろを通っていく2人。1人はスケバン。
もう1人は。

俺は遠ざかっていくやつらを恐る恐る視界に入れた。
スケバンはスケバンで間違いないのだが、問題はその隣である。

今、俺の後ろを通ったのは声的にも風紀委員の男だと思う。なのに今俺の視界に映っているのは女の後ろ姿。
黒い長い髪、この前とは服が違うが絶対にあの時の子と同一人物だと分かる。

まさか。

え、いや、そんなはずは、だって、どう見ても女だったし。

俺は動揺しながらも空っぽのコップを手に持ったまま原田のいる部屋へと戻る。
荒々しく開けた扉の先で原田はまだ壁に耳を当てていた。
もう隣はいないっつーの。


「原田」

「なんだよ、てか飲み物ついできたんじゃないのか」

「風紀委員だった」

「は?」

「天使、風紀委員だった」

原田はわけがわからないと言った顔でソファに座り直す。そして俺の言葉を脳内でもう一度再生してやっぱり理解できなかったのか再び「はあ?」と顔を歪めた。

俺はテーブルに置いてあるマイクを引っ掴み口元に持ってきた。



「だから、俺が一目惚れした人は風紀委員で、男だったってこと!!」



そこに俺の叫びが響いた。