「…いいのかよ、俺で」
つい、そんなことを聞いてしまった。
“恋人”という言葉を聞いて、自分が皐月の相手でいいのか急に不安になってしまったから。
「先輩がいいんです。…木瀬先輩じゃなきゃ、だめなんです」
間髪入れずに返ってきた言葉を聞いて、頬が緩んだ。
皐月の頬に伝った涙をすくうと、どうしようもないくらい愛おしさがこみ上げてくる。
離さないと言わんばかりに、腰に回された腕。
壊れ物を扱うかのように、頬に添えられた長細い指。
触れられるたび、こんなにも胸が跳ねるのは皐月だけ。
「…俺だけのものになって、先輩」
互いの視線が交差する。
甘く痺れたこの感覚に酔わされて、そっと目を瞑った。
「…もう、とっくになってる」
俺を惑わすたった一人の可愛い後輩。
甘い言葉で振り回すのはお手の物。
「離すなよ、絶対に」
だから、一生俺だけを見て笑っていて。
手綱は、おまえが握ってていいよ。
どんなに振り回されたっていいから。
「言いましたね?嫌って言っても、絶対離してあげません。…覚悟、しといてください」
ずっと隣で、愛させて。

