「っ、誰のせいだと…!」
「俺、別に先輩を困らしたい訳じゃないんですよ」
そう切り出した皐月の隣に並び、校門を出る。
「どの口が言ってんだ」と言いたくなったのを堪えて、ここは聞き入ることにした。
ちらりと横に目をやれば、それが交差してしまい反射で逸してしまった。
これではまるで、意識してると言ってるようなもの。
「っ…」
自覚した途端に羞恥がぶわっと込み上げてきて、顔に熱が一点集中していくのがわかった。
はあー…もう、ほんとに最悪すぎる。
後悔の念に駆られる俺とは反対に、なぜか皐月は「ふっ」とはにかんで頬を緩めた。
「…そういうとこですよ。俺がついそのまま口に出しちゃうのは、木瀬先輩のそういう反応が見たいから」
春の風が、ひゅうっと強く吹き抜ける。
葉桜が舞い、髪を揺らした。
「告白だって、困らせたくて告ったんじゃないんです。ただ…俺のことを、意識して欲しかった」
不思議と皐月の言葉が、いつもより自然と胸に馴染む。
だからだろうか。
なんの違和感もなくそれを受け入れていて。
「…なんで?なんで、俺なんだよ」
今日、ずっと考えていたことが口をついて出た。
「おまえは…言っちゃ悪いけど、選び放題だろ。入学して早々、俺に固執する必要は…」
「木瀬先輩」
俺の言葉を遮って立ち止まり、ネクタイに指をかけた皐月。
それを緩めて、俺の首元に巻き付けた。

