「っ、分かってて言ってるだろ。」
確信犯だと分かっているのに、その姿を見て不覚にも可愛いと思ってしまった自分が憎い。
…っていうか、なんでこいつはこんなに平然としてるんだよ?
告白したのは皐月で、俺は告白された側だろ?
なのに…。
「えへ、バレました?」
どうして俺より余裕があるだろうか。
普通、告白したら気まずくなるもんじゃないのか…?
したことないから分からないけど、よくそうやって言うし。
…なんでお前は、好きなやつを目の前にしてそんなにヘラヘラ笑ってられるんだよ。
「っ…お前、本当は…」
そこまで言葉が出かかったとき、はっとした。
…ここ、教室だよな?
つい勢いのまま感情と共に心の声が漏れそうになり、慌てて引っ込める。
こんな場所でそんなこと言ったら大問題だ。
「…木瀬先輩?どうしたんですか?」
「いや…なんでもない。ほら、そんなことより早く行くぞ」
喉元まで出かかった言葉を飲み込んで取り繕った。
不思議そうな顔でこちらを見ている皐月に気付かないふりをして、バックを手に取る。
もやもやした胸の内をひた隠すように、もう片方の手で皐月の腕を引っ張り廊下に出た。
「ふふっ、先輩そんなにお腹すいてるんですか?」
「何笑ってんだよ」
「嬉しいんです。だって、初めて先輩から触れてくれた」
「っおまえ、なんでほんと…」
そうやっていちいち、恥ずかしーこと言えるんだ。

