それから二ヶ月が経った。時間が経ったところで田舎の話題はさほど変わらず、学校の昼の放送はやっぱり&moreが独占していたし、山梨香織に取り入ろうとする人間もやっぱり多かった。私はというと、その輪に入ることも外れることもできず、時々私の元にやってくる詩子を介して、同級生という山梨香織との関係性を続けていた。SNSや動画配信サイトで彼女を目にすることも増え、山梨香織は少しずつ〝普通の女子高生〟から乖離していく。
その時期くらいから、山梨香織は学校を休みがちになった。登校してきても、遅刻してきたり、早退したり、一日を丸々学校で過ごすことが極端に少なくなった。東京のレッスンに通っているのだそうだ。
「香織ちゃん、転校するんかなぁ」
詩子がぽつりと言うのを、私は返事をせずに聞いた。うちの高校が芸能活動を禁止しているのかは知らないし、そもそも前例がないから規則自体存在しているのかすら怪しい。でも、山梨香織がどこか遠くに行ったら、楽になれるのだろうか。同級生に山梨香織がいたという事実が風化していけば、山梨香織は遠い人になってくれるだろうか。
その時期くらいから、山梨香織は学校を休みがちになった。登校してきても、遅刻してきたり、早退したり、一日を丸々学校で過ごすことが極端に少なくなった。東京のレッスンに通っているのだそうだ。
「香織ちゃん、転校するんかなぁ」
詩子がぽつりと言うのを、私は返事をせずに聞いた。うちの高校が芸能活動を禁止しているのかは知らないし、そもそも前例がないから規則自体存在しているのかすら怪しい。でも、山梨香織がどこか遠くに行ったら、楽になれるのだろうか。同級生に山梨香織がいたという事実が風化していけば、山梨香織は遠い人になってくれるだろうか。



