「わ、ひど!」
「いいじゃん、シェアしてよ。めっちゃ気になるし。独り占めは許さん」
亜沙美は観念したように口を開く。
「他にもさ、自称イケメンなのに顔写真なしとか、プロフィールと実年齢が違うとか、元カノとのプリクラを堂々と載せてる人とか……」
「待って、情報量多すぎ」
結美が突っ込む。
「でしょ?」
「他には?」
「あと、自分の病気や生きづらさを全部こっちに背負わせようとしてきた人。例えば、院卒で日本語、英語、韓国語……とにかく何か国語が話せるけど、『発達障害があり、精神疾患も抱えています』とか」
「え、何それ」
「間違えてタップしたらマッチングしちゃってさ。そこから“僕も人並みに恋愛して幸せな結婚がしたいんです”“あなたなら僕の苦しみを理解してくれると思いました。お願いです、僕を救ってください”っていう救済のメッセージの嵐……。“私じゃあなたを救えないので、専門機関に相談してください”って返信してブロックしちゃったけど」
「それでいいと思う。病気があるとかないとかじゃなくて、会ったばかりの相手に“自分を救ってくれ”って背負わせるのは違うよ」
「だよね……。何か、婚活アプリなのに“彼女募集中です”ってプロフに書いてる人もいたし、“ブサイクな人とデブはお断り”って堂々と書いてた人もいた」
「え! ヤバい通り越して呆れるね」
「うん。あ、あとね。加工アプリで犬とか猫に変身した人もいた。それをトップのアイコンに設定してて。それだけでも痛いのに、年齢見たら44歳。いい歳したオッサンが何やってんのって思った」
「キモすぎ! それやればかわいいとでも思ってんのかな? 多分若い子目当てじゃね?」
「うん、確か子どもが今すぐ欲しいけど、シングルマザーはお断りって書いてあった」
「キモ! 子どもほしいからって若い子狙う人いるよね。しかも“今すぐ欲しい”って、相手の人生とか妊娠・出産の負担とかちゃんと考えてんのかな」
「スルー一択だね」
「他には?」
「え、まだ聞く?」
「だって、面白いのはここからでしょ? 亜沙美なら絶対もっとすごいパンチのあるエピソードがあるはずだよ」
「さすがにないよ」
「いや、まだあるね」
「いや、もうこれと言って強烈なのはないよ」
「じゃあ何でもいいから言ってみて」
「ええ? じゃあ、登録年齢と自己紹介の文に書いてある年齢が違った人」
「例えば?」
「検索かけたら引っ掛かる年齢が32歳なのに、自己紹介の中に書いてある年齢が40歳だったってパターン」
「何それ、めっちゃ間抜けじゃん。他のアプリか何かで文章コピペして使い回したやつからボロが出たってか? 頭悪すぎなんだけど」
「うん、実際いくつかのアプリやってるっぽくて」
「会費の無駄遣いもいいところだね」
「ねぇ、もっと他には? 亜沙美」
「は? もう良くない?」
「いや、まだ足りないね。もう少し足せばマジで本書けるよ」
結美の暴走は止まることなく加速度を増し続ける。
「じゃあ次は……元カノと思しき人と撮ったプリクラをプロフ写真にしてた31歳の男とか」
「来た来た! 匂わせ野郎。自分は彼女いたことありますアピール&加工してでもよく思われたいってやつかな。てか、30過ぎでプリ撮る男ってダサ過ぎん? あたし絶対無理」
吐き真似をする結美。
「あとは、初デートでランチ&映画&ディナーを計画して、相手の希望も何も聞かずに自分の都合で勝手に店まで予約して映画の前売り券も事前に用意して俺完璧! って自分に酔った男がいたよ。当日のランチの段階で、相手の女性が料理頼む前に“体調不良”を訴えて、トイレに行ってくると席を外してそのまま帰ってしまったらしくて。そのことに激昂して、アプリ内の日記にその女性の悪口を投稿したらめっちゃ炎上したっていう……」
「うわ、勘違いなうえに超無神経野郎ね」
「つーか、初デートで内容盛りすぎじゃね? しんど。そりゃ帰りたくもなるよ」
「“34の行き遅れたババア”とか“金返せ”って言っててさ。そいつ35歳だったけど」
「人間ちっさ! どの口が言うんだよ」
「まさにそれでさ。他の女性会員からめっちゃボロクソに言われて逆ギレしてて。運営何やってんだって思って、そのアプリは辞めた」
「すごい、ネタが尽きないね。さすが亜沙美」
「あ、今思い出した」
「何を?」
「その炎上男がいたアプリ内に、“自分も婚活を成功させて早く結婚したい。将来は奥さんと一緒に婚活支援の仕事がしたい”って言ってる人もいてさ。まだ自分の婚活も終わってないのに、もう他人を支援する側の話してるのが何かズレてるなって思って、極力関わらないようにしてた」
「身の程を知らないって恐ろしいな」
「自分をわかってない人ほど無謀な発言するよね」
「ねぇ、亜沙美ちゃんが婚活する目的って何?」
「いいじゃん、シェアしてよ。めっちゃ気になるし。独り占めは許さん」
亜沙美は観念したように口を開く。
「他にもさ、自称イケメンなのに顔写真なしとか、プロフィールと実年齢が違うとか、元カノとのプリクラを堂々と載せてる人とか……」
「待って、情報量多すぎ」
結美が突っ込む。
「でしょ?」
「他には?」
「あと、自分の病気や生きづらさを全部こっちに背負わせようとしてきた人。例えば、院卒で日本語、英語、韓国語……とにかく何か国語が話せるけど、『発達障害があり、精神疾患も抱えています』とか」
「え、何それ」
「間違えてタップしたらマッチングしちゃってさ。そこから“僕も人並みに恋愛して幸せな結婚がしたいんです”“あなたなら僕の苦しみを理解してくれると思いました。お願いです、僕を救ってください”っていう救済のメッセージの嵐……。“私じゃあなたを救えないので、専門機関に相談してください”って返信してブロックしちゃったけど」
「それでいいと思う。病気があるとかないとかじゃなくて、会ったばかりの相手に“自分を救ってくれ”って背負わせるのは違うよ」
「だよね……。何か、婚活アプリなのに“彼女募集中です”ってプロフに書いてる人もいたし、“ブサイクな人とデブはお断り”って堂々と書いてた人もいた」
「え! ヤバい通り越して呆れるね」
「うん。あ、あとね。加工アプリで犬とか猫に変身した人もいた。それをトップのアイコンに設定してて。それだけでも痛いのに、年齢見たら44歳。いい歳したオッサンが何やってんのって思った」
「キモすぎ! それやればかわいいとでも思ってんのかな? 多分若い子目当てじゃね?」
「うん、確か子どもが今すぐ欲しいけど、シングルマザーはお断りって書いてあった」
「キモ! 子どもほしいからって若い子狙う人いるよね。しかも“今すぐ欲しい”って、相手の人生とか妊娠・出産の負担とかちゃんと考えてんのかな」
「スルー一択だね」
「他には?」
「え、まだ聞く?」
「だって、面白いのはここからでしょ? 亜沙美なら絶対もっとすごいパンチのあるエピソードがあるはずだよ」
「さすがにないよ」
「いや、まだあるね」
「いや、もうこれと言って強烈なのはないよ」
「じゃあ何でもいいから言ってみて」
「ええ? じゃあ、登録年齢と自己紹介の文に書いてある年齢が違った人」
「例えば?」
「検索かけたら引っ掛かる年齢が32歳なのに、自己紹介の中に書いてある年齢が40歳だったってパターン」
「何それ、めっちゃ間抜けじゃん。他のアプリか何かで文章コピペして使い回したやつからボロが出たってか? 頭悪すぎなんだけど」
「うん、実際いくつかのアプリやってるっぽくて」
「会費の無駄遣いもいいところだね」
「ねぇ、もっと他には? 亜沙美」
「は? もう良くない?」
「いや、まだ足りないね。もう少し足せばマジで本書けるよ」
結美の暴走は止まることなく加速度を増し続ける。
「じゃあ次は……元カノと思しき人と撮ったプリクラをプロフ写真にしてた31歳の男とか」
「来た来た! 匂わせ野郎。自分は彼女いたことありますアピール&加工してでもよく思われたいってやつかな。てか、30過ぎでプリ撮る男ってダサ過ぎん? あたし絶対無理」
吐き真似をする結美。
「あとは、初デートでランチ&映画&ディナーを計画して、相手の希望も何も聞かずに自分の都合で勝手に店まで予約して映画の前売り券も事前に用意して俺完璧! って自分に酔った男がいたよ。当日のランチの段階で、相手の女性が料理頼む前に“体調不良”を訴えて、トイレに行ってくると席を外してそのまま帰ってしまったらしくて。そのことに激昂して、アプリ内の日記にその女性の悪口を投稿したらめっちゃ炎上したっていう……」
「うわ、勘違いなうえに超無神経野郎ね」
「つーか、初デートで内容盛りすぎじゃね? しんど。そりゃ帰りたくもなるよ」
「“34の行き遅れたババア”とか“金返せ”って言っててさ。そいつ35歳だったけど」
「人間ちっさ! どの口が言うんだよ」
「まさにそれでさ。他の女性会員からめっちゃボロクソに言われて逆ギレしてて。運営何やってんだって思って、そのアプリは辞めた」
「すごい、ネタが尽きないね。さすが亜沙美」
「あ、今思い出した」
「何を?」
「その炎上男がいたアプリ内に、“自分も婚活を成功させて早く結婚したい。将来は奥さんと一緒に婚活支援の仕事がしたい”って言ってる人もいてさ。まだ自分の婚活も終わってないのに、もう他人を支援する側の話してるのが何かズレてるなって思って、極力関わらないようにしてた」
「身の程を知らないって恐ろしいな」
「自分をわかってない人ほど無謀な発言するよね」
「ねぇ、亜沙美ちゃんが婚活する目的って何?」



