婚活中毒

「えー!? おめでとう!」 
「ありがとう。今度、彼のご両親のところへ挨拶に行くことになったの」
「よかったね、姫果!」
 周りは一瞬で姫果への祝福モードに切り替わる。
「うっそぉ~、姫果に先越されるなんて……」
 亜沙美はうなだれた。あからさますぎる亜沙美の反応に、奈々華は「気持ちはわかるけど。まずは姫果におめでとう、じゃない?」とたしなめる。
「いいよ、奈々華ちゃん。わたしこそ、こんなタイミングで切り出しちゃってごめんね」
「いやいや、姫果は悪くないから。むしろ、そんな話の振り方したあたしが悪かったよ」
 結美が弁解するように言う。
「……そうだね。アタシ、自分のことばっかでごめん。姫果、婚約おめでとう……あ……。ダメ、今のアタシじゃ心の底から祝福できない。悔しすぎて……うぅ~」
「亜沙美ちゃん……」
「いいよ、思いっきり泣け」
「私も、今は泣いてスッキリした方がいいと思うな」
「何で、何でアタシだけいつも置いてけぼりになるの? 何で~?」
「うん、そういう面倒くさいとこかな」
 結美が即答する。
「何それ! 意味わかんない~!」
「とりあえず、そのヤバい男たちから逃げ切れたのは不幸中の幸いだよね。今は亜沙美の話を存分に聞こうじゃないの」
 奈々華が仕切り直すように言うと、亜沙美はパッと明るい笑みを浮かべながら言った。
「ありがとう。持つべきものは良い親友ね」
「いいってことよ」
「お待たせいたしました」
 店員がオレンジジュースを亜沙美の前に置く。
「ありがとうございます」
 亜沙美はひと息つくと、再び三人との会話に戻った。

「あたし、今までの亜沙美の恋愛遍歴聞いてて思うんだけどさ。マジでエグすぎてドラマみたいで面白くね?」
「本書けるんじゃないかってレベルだもんね」
「婚活アプリ編とかさ。今回の件も含めて教えてよ。顔面も年齢も詐称だらけのオッサンの他にどんなのがいたか知りたい」