このままではまずい。この男とは今後、一切関わらないほうがいい。

「アスマくん、ごめんね。ちょっと体調が悪いから、帰るね」

「ああ、そうなんだ! じゃあ、家まで送るよ!」

「いや、大丈夫!」

「本当に? 俺、そういう気くばりは得意だから!」

それが一番怖いんだよ!

理彩はできるだけ自然に笑顔を作り、「また今度ね!」と言い残して、早歩きでその場を去った。

後ろを振り向かず、コンビニを出てすぐにタクシーを捕まえ、自宅へと帰った。

スマホのブロックリストを開き、改めてアスマの連絡先を全てシャットアウトする。

「もう、二度と会いませんように…」

そう願いながら、風邪薬を飲み、布団に潜り込んだ。