理彩は最近、恋愛から遠ざかっていた。仕事が忙しく、連日残業。休日は疲れて寝てばかりで、恋愛どころではない。職場には出会いもないし、かといって合コンに行く気力もない。そんなとき、友人の真由が言った。

「理彩、マッチングアプリ試してみなよ。最近、意外と普通の人も多いらしいよ」

「うーん…」

正直、興味はあった。でも、知らない人と会うのは怖い。とはいえ、このまま仕事だけの人生も嫌だ。軽い気持ちでアプリをダウンロードしてみると、意外とまともそうな男性が多い。

その中で目に留まったのが、「アスマ」という男性だった。

写真は爽やかな笑顔。プロフィールには「歴史好き」「日本遺産巡りが趣味」と書かれている。メッセージも丁寧で、気くばりができる印象を受けた。

「歴史が好きなんですね。私もお城巡りとか興味あります！」

「そうなんだ！それなら今度、日本遺産に指定されている〇〇城に行くんだけど、一緒にどう？」

彼の誘いに、少し考えた。いきなり二人きりは怖い。でも、歴史好きという共通点もあるし、昼間の観光地なら安心かもしれない。

「いいですね！歴史についていろいろ教えてください！」

そうして、デートが決まった。