(あざみ)が言った一言が気になり家に帰るなり俺は携帯でネット開き ケイ 歌 で調べた。
ケイなんて言う歌手は沢山いるんじゃないか…検索に引っかかるのか?と不安に思ったが検索の一番上にある歌の動画が出てきた。
ケイという名前の歌手なんて沢山いる、しらみつぶしに探していこうと一番上に出てきた動画を再生する。
ゆったりとした、どこか寂し気なメロディー。動画は夜空にひとつの星が輝いている。
そして聞こえてくる歌声…

「…これ」

聞き覚えのある歌声。

(あざみ)だ…」

あの屋上で聞いた歌だ。どこか寂し気で悲しく…でも歌が進むに連れ覚悟を感じれる歌。動画が終わる頃には夜空から青空に変わっていた。

「……っ、あれ」

歌が終わって気づいたら俺の頬には涙が伝っていた。
別に何か悲しいことがあったわけでも辛いわけでもない。なのに何故か涙が止まらなかった。
内側からこみ上げてくるものがあった。小説を読んで感動して泣いてるのとは違う。
言葉には出来ない心に何か来るものがあった。
寂しい、辛い、痛い、くやしい…でも最後は前へ進めるそんな歌。
俺は初めて歌を聞いて泣いた。