「おーい、蛍」
「んー」
「蛍くーん」
名前を呼んでもまともに返事をしない蛍。
付き合ってからは屋上ではなく放課後は蛍の家の部屋で過ごすことが日課になっていた。
蛍は曲作りに没頭している時は俺を抱き枕のようにしっかり抱き携帯のメモに歌詞を打っていく。
よくこんな状態で歌詞をかけるよな…。その間俺はジッとするしかなくて気づいたら寝ていた事が何回もあった。
今日も何だか眠たくなってきた…寝そう…。
「…泉」
すると耳元から俺を呼ぶ声がする。
こいつ無駄に声いいんだよな…。毎回ドキッとする声にまだ慣れない。
「…なに?」
「曲出来た」
「そう、えらいね」
そう言って蛍の頭を撫でる。
蛍は嬉しそうに顔が緩んでいる。まるで飼い主に撫でられる猫みたいだな。
ジッと何かを訴える蛍。その目は…
「今日はしないぞ…」
「ダメ?」
(ダメ?って…)
猫のように大きな目で甘えるように聞いてくる蛍。
曲の出来がいいといつもこうだ。俺はこの目に弱い。
断れないことをわかっていて蛍はやっている…絶対に…。
蛍と付き合って分かったことがある。蛍は結構嫉妬深い。
たまに片瀬に対して嫉妬の感情を向けている時がある。
(お前以外を好きになることなんてないのに…お前も俺も互いに結構執着してんだな)
そう思って気づいたら蛍にキスしていた。
「っ」
ニヤッと笑う俺に蛍の目が変わった。
(スイッチ入った)
俺は蛍に身体を委ねる。
なんだかんだ俺を求める蛍が可愛くてしょうがない。
俺も俺で蛍に甘やかされている自覚はある。これからもずっと互いに支えあっていけたらいい。
「…っ、蛍」
「ん?痛かった?」
「いや…違う」
「?」
「愛してるよ、蛍」
そういうと一瞬遅れて蛍は愛おしそうに微笑んだ。
「俺も愛してるよ、泉」
こらからもずっとふたりで…。