煌龍は本来黒髪だが、舶来品の植物を遣ったことで髪の色を変えることが出来た。
しかし染めればまた新しい髪が伸びてくるか、染めた色が抜けなければ黒色には戻らない。
煌龍は昔髪を染めていたが、色々あって仕方なく黒髪のカツラでしのいでいた頃がある。
それを清恭は捨てていたはずだったのだが、しっかり煌龍は保管していた。
「で、何をお考えですか」
泣き真似をやめて、清恭は壁にある机の上に置いてある茶器を手に取って茶を入れる。
「お前が縁結び師などという面白い娘を連れてきたからだろうが。
せっかくなら近くで見てみたいと思ってな」
「それでわざわざ手袋をして昔の名前を使ってまでして現れたのですか。
でしたら彼女が匿っている姫ということもご存じですね」
「お前が風水師を毛嫌いしてるのは知っていたが、よりわからない縁結び師とやらを連れてきたのは驚いた。
貴族の中では人気らしいが、まさかあのような子供だったとは」
「彼女は十六です、子供ではありません」
「そうだな、箱入りの姫達よりは大人かもしれん」
金で龍が描かれた小さな茶杯を鴻季に差し出した。
茶杯には金色のお茶が注がれている。
夜飲むには気持ちを落ち着かせる茶で、香りを嗅ぎながら鴻季は一口飲んだ。



