黒龍王の縁結び師



帰りは令姿が一緒で後宮に難なく戻り、実は後宮の外に出てからはあの屋敷への近道がありまして、と先回り出来た理由を令姿は話した。
それだけじゃ無いと思うと蘭花は思うが、今は黙っていることにした。

蘭花は姫の衣装に着替えさせられ、一人、長椅子に座りながら思案する。
どうせ能力のことは遅かれ早かれ他人に漏れるだろうと思っていたし、それが勝手な解釈をされるのも予想はしていた。
一番面倒なのは鴻季のように過度な期待をする者達だ。
そういう人間は過度な期待を勝手にしておいて、結果を知って裏切られた気持ちになる。
そして勝手に腹を立てるのだ。

「面倒なことになった」

令姿は共用の台所に行って部屋には蘭花一人。
独り言を口に出しても問題は無い。

「そもそも私には目的がある訳だし、どさくさで姫にあってその人が一番良いならそれで仕事は終わるはずだし。
まぁ、そうそう簡単にはいかないだろうけれど」

長椅子にごろりと横たわり天井を見上げる。

帰ってきた令姿に、そういう格好はいけません!と叱られ、しぶしぶ蘭花は座り直した。

(こうなりゃなんか少しでも成果を出してやる!
どう考えてもあの二人、私に期待してなかったしね)

ふつふつと、蘭花は闘志を燃やしていた。