黒龍王の縁結び師


「失礼ながら皇太后派というはどういう意味なのでしょうか」
「前皇太后はご存命だからね、幽閉されているとは言え今も帝位を簒奪した黒龍王よりも色々と繋がっていた方々は前皇太后に戻ってきて欲しいんだよ」
「鴻季殿!」
「悪かった悪かった」

蘭花に説明していた鴻季に、清恭が焦ったようなしかし怒りの混じるような声を出し、鴻季は謝っているものの平然としている。

清恭は長いため息をつくと、

「そういうことでしばらく林家の姫にお会いできません。
他に何か出来ることでも考えていただくか、自分の姫にしっかりお仕えしてください。
こちらはしばらくボヤ騒ぎを調べることと、林家と馮家との諍いで忙しくなりますので」

面倒だと言わんばかりの態度に、難しいこととは関わりたくない蘭花は頷く。

「なぁ、お嬢ちゃんに手伝ってもらったらどうだ?」

卓の上で肘をつき、その手に顔を乗せていた鴻季が言い、清恭は、え?と声を漏らした。

「お嬢ちゃんは人に会えば色々わかるんだろう?
まずは林家の姫に会ってもらえばいいじゃないか。
もしかしたら犯人がわかる可能性だってあるだろ」
「鴻季様、待ってください!
誤解されているようですが私の能力は万能なものではないですし、よほど近くで手を見ないとそもそも始まらないのです。
私のような侍女が姫に会えるわけが無いではありませんか」
「そこは清恭殿がどうにかしてくれるさ。
なぁ?」

完全に楽しんでいる鴻季に焦る蘭花。
清恭は諦めた目をして話を聞いていた。