「悪いな、お嬢ちゃん。
俺が無理矢理聞き出したんだ、清恭殿が悪いわけじゃ無い。
で、話を折って悪いが、もう俺も知ってるんだ、素直に話してしまったらどうだ?」
腕をほどき、鴻季はいつの間にか令姿が出した茶菓子を食べている。
蘭花も気がつけば目の前に茶菓子が置いてあったのだが、かなり上等の菓子に驚くよりも、さっき奥から目にも留まらぬ早さで三人分茶を入れ替え、立派な茶菓子まで用意した令姿が一体何者なのか気になる。
清恭はここで誤魔化すよりも、とりあえず何か出来ないかと考えることにした。
「姫のいた部屋でボヤがあったのは事実のようです。
問題はそれが何故起きたのか。
こちらも調べたいのですが、林家当主は嫌がっていましてね。
何より当主は『馮(フォン)家が娘を殺そうとした!』と大騒ぎしているのですよ」
「馮家も林家も三公でいらっしゃいますね。
そのように言うということは、かなり対立されているのですか?」
「馮家は皇太后派、林家は王派、三公もう一つの周(シュウ)家は中立というか様子見かな」
蘭花の疑問に鴻季が答える。



