「で、清恭殿はこの明蘭殿に何をさせたいのかな?
明蘭殿の疑問に答えてからそこも聞きたいところだね」
にこにこと鴻季が言い、清恭は額に手を当てている。
蘭花はやはりこの二人は親友なのだなと確信した。
清恭はため息をついてから話し出した。
「林家の姫はまだ後宮には入られていません。
皇城にある林家屋敷で数日休まれてから後宮に移動する予定でした。
ですがその夜にボヤ騒ぎが起き姫は怖いとすっかり怯えられ、宮城の端にある賓客用の別邸に移っていただきました。
現在は姫が信用出来る者達も含め、しっかりと警護しております。
ですので」
清恭は蘭花の隣で腕を組んで聞いているような聞いていないような顔をしている鴻季に視線をちらりと向けたあと、
「例の件はしばらくお待ちいただきますようお伝えしようと」
「例の件ってなんだ?
このお嬢ちゃんが縁結び師とやらであることに関係しているのか?」
鴻季の無邪気にも思える質問に、蘭花の目が鋭く前に座る清恭を捉える。
蘭花の能力については清恭と令姿しか知らないことになっていたはずだ。
それが始めた会った清恭の友人らしき人物に漏れていたことに、蘭花は非難の視線を容赦なく向ける。



