黒龍王の縁結び師


「ここが清恭殿の家だ。
彼の本当の屋敷は外にあるが、今の御代になってからここに住んでいる。
清恭殿、お連れしたぞ」

門を通り中に入ればこぢんまりとしながらも品の良い屋敷が現れた。
その扉を容赦なく開けて、鴻季の後ろに立っていた蘭花の背に手を当て一緒に中に入ると、ガラガラと凄い音がした。
そこには目を見開き立っている清恭。
両手は空中で止まり、足下には手から落ちた木簡が転がっている。

すぐさま蘭花がかけより木簡を拾い上げて清恭に渡すが、蘭花を見たあとに再度鴻季をみて、それを繰り返してから口をあんぐりと開けた。

「へ、へ」
「どうしましたか、清恭殿?
私の名前をお忘れか?
貴方の友人、鴻季ですよ」
「友人ではありません!!」

清恭は耳まで真っ赤にしながら声を大にして言う。

「友人では無いのですか」
「悲しいことだ、友人では無かったらしい」

なんとなく可哀想になって蘭花が隣にいる背の高い鴻季を見上げると、鴻季は眉を下げている。