翌日、清恭より自分の屋敷へ明蘭としてすぐに来るよう連絡が届いた。
蘭花は起き抜け早々の呼び出しに急ぎ侍女の服を令姿に用意してもらい着替える。
こっそり後宮などのある内廷から門を抜けて、皇城、いわゆる官吏などがいる区域の街へ向かう。
しかし蘭花は何もこの地域を知らないため、内廷から外に出る門の前に使いを待たせるからその者と来るようにと手紙には書いてあった。
ひっそりと相手に届けるには木簡では大きい。
仕方なく紙を使ったのだろうが、蘭花からすれば上質な紙にちょっと興奮してしまう。
送ってきた相手に興味は微塵もないが、この紙はあとで何かに使えないだろうかと滅多に触れない紙を撫で胸元に忍ばせ待ち合わせ場所に向かった。
(目印は腕に白い布の男ね)
門の外に出て周りを見渡すと、目の前に壁が出来た。
突然の出来事に蘭花が声も出ずに後ろへ倒れそうになったのを、誰かの手が蘭花の腰に回り一気に引き寄せられる。
大きな腕に抱き留められ、蘭花は見知らぬ男の体温を感じて戸惑った。



