黒龍王の縁結び師


蘭花の能力は、誰かと誰かに縁があるのか気づくことが出来ることだ。
一番はその相手の手を視ること。
手を視ればその色により、どういう相手を好んでいるのか、そもそも恋愛をする気持ちが無いのかも大抵わかる。

簡単に当事者二人を連れてくることは出来ないので、縁結び師として仕事をしていたときは貴族の息子などに来てもらいその手を視て、いくつか気になるお相手の愛着の品を持ってもらい、それを視るのだ。
もちろん貴族の息子などがその品の相手を知らないでいることが前提だが、仕事をしていれば色々とある。

「ですので一番は陛下の手と三姫一人ずつの手か、最悪愛着の品を持っていただいてその場で視られれば早いのですが」
「陛下には簡単にお会いできないし、そもそも姫達に会ってもそれでは意味が無いのでは?」
「姫達の陛下への本当の思いは感じ取れます」
「あらやだ、私の手で色々とお見通しなの?」

湯飲みを持っていた令姿が、さっと両手を隠したので蘭花は軽く微笑む。

「視るのにはかなりの力を使うんです。
とても強い思いは勝手に流れ込んでくることもありますが、普通はみえません。
幼い頃はそういう力の加減がわからなくて、よく熱を出し寝込んだりもしました。
今もそれなりに疲れますから連日営業も出来なかったのです」
「なるほど、万能なようで対価が必要なのね」
「それに必ずしも当たるわけでは無いんですよ。
みえたものを勘違いしたこともありますし、それで人を傷つけたこともあります。
ですので必要性とお金が絡まなければやりません」
「なんだかとても大変ね」

胸を張って言った蘭花に令姿は笑う。
知識はあるようだが、今後本当の後宮や陛下のことを知った聡い彼女はどうなるのだろう。
なんとなく令姿は期待と少しの心配を感じていた。