黒龍王の縁結び師


「三公はそもそも前皇太后時代にお仕えしていた訳ですから、各自含むところがあります。
三つに派閥が分かれてるのが現状です。
そして二人の姫は二つの家からすれば娘や孫ではありません。
今度来られる姫だけが、実際の孫ということで血のつながりでは近いのです」

令姿はお茶をすすり、蘭花もお茶を飲む。
令姿の実家は茶の取引をしているらしく、蘭花は令姿の出すお茶の美味しさに初めは目を瞬かせたものだ。

「そしてここが一番の問題です」

令姿が人差し指を立てた。

「陛下が全く姫君達に興味を示されず、公務に明け暮れていることです」

蘭花の目が少しだけ上を向き、微妙な顔になったことに気づいた令姿は、

「あぁ、陛下は清恭をそういう相手とは思っていませんし、陛下のお好みはきちんと女性だけです。
好みと言ってもどういう女性がお好みかまではわからないのですが。
ですから清恭は貴女に、陛下が好まれる相手を三姫の中から見つけて欲しいのでしょう」
「清恭様から、私の能力については聞かれていますか?」
「縁結びが出来る能力があると聞きました」
「随分と誤解がありますし、説明が省かれすぎています」

蘭花は再度お茶を一口飲んで、自分の能力について話し出した。