黒龍王の縁結び師



「今日は現在の後宮についてお話しします」

時は戻り、お勉強の時間となった蘭花は真面目な顔で四角い卓を挟んだ令姿に頷く。

「現在の後宮には姫がお二人だけです。
本日もうお一人来られて、やっと最低限『三公』の親類にあたる姫が揃われます。
三公はご存じですか?蘭花様」
「陛下を一番身近でお支えする三人の高官ですね?
確か全ての方が前皇太后様にお仕えしていたとか」
「その通りです」

やはり蘭花の知識はなかなかのものだ。
しかし詳しいこととなれば、市井で知ることと実際のことは異なってくる。

「その三公は全て名家。
姫の後ろにはその家がつくわけですから、それだけ陛下の御代も盤石となります」
「その三公は皆陛下のために尽くされるお家なのでしょうか。
今までのことを踏まえればそう簡単なこととは思えません。
それに、皇后になるには結局男子を産まれた方になるわけですから、正直三姫に陛下が全てお手を出せば済むとは思うのですが、そういかない理由は何でしょう」

的確な疑問と指摘に令姿は苦笑いを浮かべる。