黒龍王の縁結び師


黒龍王とはこの国『龍煉国(リュウレンコク)』の王を代々そう呼ぶ。
いにしえ語りとして、この国は黒龍が人となり治めたなどというものがある。
その血族が今の黒龍王。
一番血が濃い証は、髪の色が黒いこと。
実際は黒く染めているなどと市井では噂されている。

現黒龍王は病で伏せっていた前黒龍王から帝位を継いだことになっている。
実際は病で政が出来なくなった王に代わり権力を握っていたのは前皇太后であり、専横を極めていた。
その皇太后を倒し、実際は帝位を簒奪したと蘭花は聞いていた。

その後前黒龍王は身罷りその死は公にされているが、皇太后についてはわからないため、皆噂するばかり。
黒龍王が自ら殺した、どこかに幽閉したなど、現黒龍王の恐ろしさに拍車をかける要素となっている。

そんな恐ろしい黒龍王の後宮に入れられてしまったなど、蘭花としてはそれだけで清恭の言っていた身の安全の保証など嘘っぱちだと確信した。