「実行委員も大変だな」

「うん」


明らかに口数が少ない亘鍋
やはり体育祭で崩した体調がまだ戻ってないのかもしれない


ソウルナンバー探しという実行委員会の文化祭企画
校内の誰かが自分と同じ番号を持っているらしく、2人そろって受付までいくと今の俺たちのように小指にリボンをつけるらしい


誰が何の番号を持っているか実行委員も把握できていないらしく、交換も許可されているらしい
俺たちは歩く広告塔のため、背中に同じ数字が書かれた段ボールを着けている『51(恋)』


亘鍋に誘われて着いていかないという選択肢はない
それに実行委員会にまでなってこんな企画を行ってくれて感謝しかない


視線に堪えながらなんとか先程の教室まで戻ってきた
もう今しか言うときがないかもしれない


「亘鍋、あのさ。俺、亘鍋が好きだ」

「へ?」


パッと顔をあげた亘鍋は戸惑いの表情を浮かべていた
男が男に好きと言われて困惑しない人はいないだろう
当たり前の反応だ


「きっかけは俺が日直のとき手伝ってくれたから」

「そ、れは僕も日直だったから」

「黒板消してくれてただろ。俺がノート運ばないとって思ってたところを「分担して持っていこうよ」何て言うからさ」


友だちは笑うだけ笑ってあっさり帰っていったんだ
1人で往復するのも骨が折れるななんて考えていたときに声をかけてくれたから落ちるよな


笑うかおとか腕をクッション代わりに伏せって寝てる姿とかもだが、それ以外にもたくさん


「好きな人がいるって。亘鍋は俺のものって。てっきり杏晴とばかり......。それに僕は嫌われてるって」

「俺が''嫌い''なんていつ言ったよ」

「う、それはたしかにそうだけど。僕の勘違いなのかもしれないけど。でも、僕が渡邊に選んでもらえるなんて」


そういってあわてて口をつぐんだ亘鍋
じわりと頬が染まっている
おまけに耳も


俺に選んでもらいたいって思っていたってことだよな、亘鍋が
俺が知らないだけで亘鍋も俺のこと意識してくれてたってことかよ


「亘鍋、嫌だったら拒めよ」

「......んぅっ」



気持ちを確かめたかったなんて聞こえは良いのかもしれないが、自分の欲望を押し付けすぎてしまった


その顔にゾクりとしてしまった
はぁ、と肩で息継ぎをするその亘鍋の表情が俺を刺激する


「俺に壊される覚悟しとけよ、杏夜」


耳元でささやけば、


「快吏も、僕の前以外でリミッターはずすなんてことはしないで......」


なんて自分から唇を重ねてきた



渡邊said end
文化祭のわたなべend