あんな体育祭があった3日後
やはり視線が刺さるは刺さる、グサグサと
体育祭を休むべきだったかもなんて考えてしまったこともあったが、渡邊に手(正確には腕だが)を握ってもらえたことは少し嬉かった
楽しそうに質問をぶつけていく司会者、もとい杏晴の口を早く閉じさせておけばよかったことの方を後悔している
何故ならば渡邊の口からはっきりと「好きな人がいる」と聞いてしまったからだ。
僕の恋の終了のお知らせ、パキリ と割れた音が聞こえた気がしたのだ
そのせいもあってか文化祭は楽しめそうにもない
視線もいたいし
模擬店や出し物、展示や控え室として利用されていない教室を探す
熱気から外れた4棟の端っこ
ここなら一番人が来ないだろうとふんでドアに手をかけたとき、中から声が聞こえてきた
「あの、私見えちゃったんだよね。借りもの競争でのお題。渡邊は亘鍋くんを好きだったりしないよね?お願いだから否定してよ!!」
「あのさ、あんたが亘鍋を好きなのかはたまた俺を好きなのか知らないけど。亘鍋は俺のだって知らねーの?」
ドクリ心臓が跳ねる
そんなの知らないよ!なんて叫んで教室のドアから出ていった女子生徒
開けっぱなしにされたドアを閉めようとすると渡邊もちょうど閉めようとドアに手をかけたところだった
入れば?なんて言われて教室に足を踏み入れたけれど
どんな対応をするべきであろうか
──ピリリリリ
沈黙を着信音が破る
「はい、もしもし」
「あ、杏夜って今暇?」
『暇なら来てほしいんだけど、できれば誰かと一緒に』
僕の交遊関係の狭さと性格を知っているくせに呼び出してきた妹
「あのさ、杏晴が人手が足りないらしくて手伝ってほしいみたいなんだ。渡邊さえよければ一緒にどう?」
「あぁ、わかった。行くよ」
スッと立ち上がって
目的の場所、校門に向かう
その途中で思い至った『好きな人がいる』『亘鍋は俺のもの』この条件を満たす身近な人がいたことを
家族だから仲良くしたい人に僕は当てはまる
解決はしたもののショックは案外大きい
それでも杏晴を選ぶ渡邊は見る目があると思う
そんなことを考えながらついた校門
受付担当をしていた杏晴に頼まれたのは思っていたよりも注目をさらに集めるであろうものだった
宣伝を書いた段ボールを首から下げ、渡邊と歩く
これくらいならまだましだったかもしれない
なのに、なぜ赤いリボンの両端をお互いの小指に巻かなくちゃいけないんだ
かっ、カップルみたいじゃないか!
リボンの相手が僕で申し訳なさいっぱいである。
ニコニコとお願いねーなんて送り出す杏晴も杏晴だよ
亘鍋said end
やはり視線が刺さるは刺さる、グサグサと
体育祭を休むべきだったかもなんて考えてしまったこともあったが、渡邊に手(正確には腕だが)を握ってもらえたことは少し嬉かった
楽しそうに質問をぶつけていく司会者、もとい杏晴の口を早く閉じさせておけばよかったことの方を後悔している
何故ならば渡邊の口からはっきりと「好きな人がいる」と聞いてしまったからだ。
僕の恋の終了のお知らせ、パキリ と割れた音が聞こえた気がしたのだ
そのせいもあってか文化祭は楽しめそうにもない
視線もいたいし
模擬店や出し物、展示や控え室として利用されていない教室を探す
熱気から外れた4棟の端っこ
ここなら一番人が来ないだろうとふんでドアに手をかけたとき、中から声が聞こえてきた
「あの、私見えちゃったんだよね。借りもの競争でのお題。渡邊は亘鍋くんを好きだったりしないよね?お願いだから否定してよ!!」
「あのさ、あんたが亘鍋を好きなのかはたまた俺を好きなのか知らないけど。亘鍋は俺のだって知らねーの?」
ドクリ心臓が跳ねる
そんなの知らないよ!なんて叫んで教室のドアから出ていった女子生徒
開けっぱなしにされたドアを閉めようとすると渡邊もちょうど閉めようとドアに手をかけたところだった
入れば?なんて言われて教室に足を踏み入れたけれど
どんな対応をするべきであろうか
──ピリリリリ
沈黙を着信音が破る
「はい、もしもし」
「あ、杏夜って今暇?」
『暇なら来てほしいんだけど、できれば誰かと一緒に』
僕の交遊関係の狭さと性格を知っているくせに呼び出してきた妹
「あのさ、杏晴が人手が足りないらしくて手伝ってほしいみたいなんだ。渡邊さえよければ一緒にどう?」
「あぁ、わかった。行くよ」
スッと立ち上がって
目的の場所、校門に向かう
その途中で思い至った『好きな人がいる』『亘鍋は俺のもの』この条件を満たす身近な人がいたことを
家族だから仲良くしたい人に僕は当てはまる
解決はしたもののショックは案外大きい
それでも杏晴を選ぶ渡邊は見る目があると思う
そんなことを考えながらついた校門
受付担当をしていた杏晴に頼まれたのは思っていたよりも注目をさらに集めるであろうものだった
宣伝を書いた段ボールを首から下げ、渡邊と歩く
これくらいならまだましだったかもしれない
なのに、なぜ赤いリボンの両端をお互いの小指に巻かなくちゃいけないんだ
かっ、カップルみたいじゃないか!
リボンの相手が僕で申し訳なさいっぱいである。
ニコニコとお願いねーなんて送り出す杏晴も杏晴だよ
亘鍋said end



