素直にパチンコに行ってると話してくれたあの日から先輩は変わったのだから、今のわたしには彼の言動、行動すべてを信じて、未来を委ねるくらいのことしか出来ない。
それでも、朝の情報番組の最後にでる占いの結果を彼に吹き込むことだけはやめなかった。
「あ。そうだ、先輩。今日、蠍座が1位でしたよ。きっといいことがあるでしょうって、すごくないですか。もしかして、これがツイてるってやつですか?」
「じゃあ、勝ったら傘買ってきてあげるね。あ、買ってきてからいらないとかはなしだよ。そういうクーリングオフ制度はないから」
「それは、先輩だって。わたしは返品不可ですから、責任をもって養われててくださいね」
「なにそれ、新手のギャグかなにか?」
ククッと笑った先輩は、珍しくネクタイを締めていた。Yシャツなんて一体どこで買ったのだろう。そう思っても、わたしにはこの家の中に存在する先輩にしか触れられない。
気が付けばクローゼットの奥底に追いやられていた、洗いすぎて首周りがびろびろに伸びてしまった黒色のオーバーサイズのTシャツのようにだけはなりたくなくて、また言えない。
「ほら、はれのひになるかもしれないでしょ」
先輩は、わたしの言いたいことを汲んでくれたのかそう言った。



