こうして気が付けば、わたしの生活には先輩がいて、先輩はわたしがいなくちゃこの家で暮らせなくなっていた。






 互いに互いが背骨となって、支え合う生活は依存にも似ていたけれど、幸せなものだった。






 あの日、先輩は幸せに出来ないと言ったけれどそんな言葉を撤回させたいほど幸せだった。






 でも……ケホ。ケホ、ゲホ……と昨夜からわたしの口から出る咳は、止まることを知らない。






 「ごめんなさい、今日は大切な日なのに」






 ベッドの上で身体も起こせずに咳き込むと、似合わないくせになぜか、わたしのエプロンをつけた先輩が冷えピタを持ってきた。






 「謝らないで。俺にとっては、きみと過ごせる毎日が幸せで大切な日なんだから」






 歯の浮くような甘ったるい台詞を吐かれても、38度を超える熱の日はなんだか恥ずかしくない。頬が熱くなるのを感じて、覗き込んでくる彼から目を逸した。






 2年前、ずぶ濡れのまま家に乗り込んできた先輩がそのまま家に住み着いたあの時から、今まで同棲していて初めて先輩にお世話されている。