「へえ、純粋な子を味見するのも楽しそ」






 「なにか言いましたか?」





 「別になにも〜。あ、でも年下を口説く趣味はないってのは、ちょっと撤回してもいいかも」






 先輩の指先が離れてから、どんどん熱くなっていく顎先に手を添えて






 「それって、どういう意味ですか?」






 なんて、畳み掛けた。それから、これみよがしに両手でメロンソーダのジョッキを持って、ちびちびと啜ってみる。






 「んー。いま俺、フリーなんだよね」






 大きな濡れ羽色の黒目だけをこちらに向けてきて、ねえ、俺の言ってる意味わかる? とでも言いたそうな顔をしてきた。