きみの方がはやく死んじゃうかもしれないのにね。わたしの副流煙を吸い過ぎて。




 今更、馬鹿じゃないの?




 でも、バカだからこそ。今日は死なずに明日のきみがどんなバカをするんだろうなんて、ささやかに楽しみにしていたわたしも馬鹿だったのかもしれない。彼がくる毎日すらも、煙草と同じように生きる理由になっていたなんて。





 どうして、今日は屋上に来なかったんだろう。新手の嫌がらせかな。わたしは今から死んでやろうとしているのに。





 わたしを助けられるのはわたししかいない。
 たとえば、助けてって助けてくれた人にはなにかしら助けて、あげた。って付加価値がついてしまうから。だから、わたし自身の手で終わらせなくちゃ気に食わない。





 ……人間の大半は世界のひと握りになんてなれないまま、死んでいく。その他大勢として。




 わたしが今考えられるだけの、とっておきの最期ですらも、鮮烈じゃなくちゃだれにも注目されない。わたしたちの死は、興味が無い人にとっては空気を舞うちりみたいなものなのかもれない。悲しい? そういうものよ。とわたしはまだ足を竦めている自分を奮い立たせた。