「先輩」 「……先輩」 「先輩!」 何度も先輩と呼んだ。何度も背中を、存在を追いかけた。そう、何度も、何度も。先輩はそんなわたしを追い払うことは一度もなかった。 「きみって物好きだよね」 だから先輩が、わたしの先輩である限り。なにがあっても追いかけられると思っていた。前にいて、振り向かないで。わたしのことなんて、眼中になくていいから。 ただずっと前を歩く先輩を追いかけていたかった。