あと数か月で、先輩の髪の毛の青色も消えて夏がはじまる。






 蝉が鳴きだして、キンキンに冷えたラムネをかんたんに手に入れられるようになっても、わたしたちの波形はもう振れない。






 だけど、それで良い。たとえ青色が止まってしまっても、藍色が続いていく。






 愛も死も、すべて藍色が上書きしてくれるから。
 心配しなくても、青色もあの頃の先輩も消えない。






 わたしたちの波形が壊れてしまわないように、二人の波形をフラットにしたあの日。






 先輩が止めてくれた青を大切にして、ラムネをあおる。





 冷えて強まった炭酸が激しく喉で弾けていった。





 本当は嫌いじゃなかった先輩の青色を心に留めるように。