春に青くなってしまった今なら、ラムネ瓶のくびれに引っかかったビー玉も軽々と取れそうですね。
なんて言葉を飲み込んだ後は、なにも言わずに彼の変わってしまった髪の毛を改めて眺めていた。
なにも知らない先輩は、不思議そうに首をかしげてみせた。
「なに? どこか行きたいところでもあった?」
「そうですね。とりあえず、スクランブル交差点に行ってみたいです」
「へえ、田舎者みたいなこと言うね」
と目を細めて微笑んだ先輩に
「そこそこ田舎者ですよ」
ときつく睨みながら返せば、
「相変わらず冷たいね」
なんて、声を上げて笑われた。



