「久しぶりだね」






 一年の月日などなんてことなかったかのようにサラリと声をかけてきた先輩は青かった。
 あまりの青さに一旦背後にあったハチ公に目を向けて、眩しさを中和してしまったくらい。





 一度、大きく深呼吸をしてもう一回先輩に目を向けてみると。






 『スクランブル交差点でぐちゃぐちゃに人混みにかき混ぜられても見つけられそうなこと』





 くらいしか良いことなんてなさそうな青色の髪が網膜に突き刺さった。わたしの知っていた染められる傷みを知らない柔らかな黒髪は、どこにもなくて。毛根からブリーチを繰り返された青色の髪は、渋谷の太陽に照らされて透明感のある輝きをはらんでいた。