ビー玉の青さなどよくわからないまま、気が付けば高校を卒業していた。
もう二度と腕を通すことがないであろう制服をクローゼットの奥にしまいこむ。
隣にラムネをあおる先輩はいない春。
わたしは先輩と同じ東京の大学に合格した。
去年、卒業式の日に連絡先を交換してもらってから一度も連絡できていなかった先輩に
『大学に合格したので、会えませんか?』
なんて送ったのはつい先日のこと。たった二言を送るだけなのに、文面を一時間も悩んでしまったわたしを笑うように、
『いいよ』
とだけ返ってきたメッセージからは、意外とすぐに日取りが決まった。



