「へぇ、きみは冷たいね」





 空っぽになったラムネの瓶を薄暗い天井に透かすように掲げた先輩は嬉しそうに目を細めた。





 先輩の横顔を眺めてから、一気にラムネをあおってみる。幾分かぬるくなった弾ける威力が少しだけ弱まっていた炭酸がやさしく喉を濡らしていく。




 すべて飲み込んでしまうと、ラムネの瓶のくびれにつまったビー玉を無性に取りたくなって、飲み終わった瓶に指を突っ込んでみた。そんなわたしに




 「ビー玉は青くないと取れないんだよ」




 と首を振ってみせた先輩。





 それっきり、先輩はラムネを飲まなくなってしまった。