「で、のこのこ来てくれたってことは、きみは僕のために死んでくれるんだね」





 目の下の隈がいつもより濃い。ひんやりとした空気に息を吐けば、白く染まる季節。先輩の不採用通知を紙飛行機にしてから、すでにもうひとつの季節が終わりを迎えようとしていた。






「あの……煙草、食べたんですよね。大丈夫ですか?」





「なんかきみの顔を見てたら、楽しくなってきたから……たぶん、大丈夫」






「それ、煙草を誤飲した時の中毒症状『興奮』ですね。柵にでも寄りかかって、安静にしてください。……って、言ってる側から煙草に火をつけて、馬鹿なんですか?」







 言葉が荒いきみは新鮮だねぇ。と意識がふわふわしてきたのか、呂律も足元もおぼつかない先輩に指を指され、





「やめてください」





 と形ばかりの注意をしてから駆け寄って、彼の肩の下に自分の肩をいれて支えてやる。するとすぐに、全体重を預けてきた先輩は荒い息の中、口を開いた。