「別に、僕は必ずやれと言っているわけじゃないでしょ」






「本気にする方が悪い理論ですか、それ」






「まあ。僕は紙なんかをチマチマ燃やさなくても、このアルコールを燃やせば鬱憤くらい晴らせるからいいけど。きみは僕に命令されないと、苛ついても物を燃やせないもんね」






「趣味の悪い冗談はよしてください。わたしは先輩と違って苛ついても物を燃やすなんて、物騒なことはしませんよ」






 なんか今日のきみ、ノリ悪い。いつもなら僕の言うことならなんでも、馬鹿みたいに『はいはい』聞いていたのにね。そこが面白いから、きみに構ってあげてたって分かる? あ。わかっていたら、わざわざ神経逆撫でてくること言ってこないか。ねえ。まだ僕のことが好きなら、紙飛行機飛ばしてみてよ。ここから、そう目に見える証拠を出して。







 またぶつくさと文句を垂れた先輩に深く息を吐き出せば、彼自身すら癇癪のやり場に困っているのか、苦々しい顔をしながら煙草を咥え直していた。