「本当にきみは、口だけは達者だよね。結局、一度も僕の『死ね』には従わないのに」
「え、先輩。死人に口なしってことわざ知らないんですか?」
「別に僕はきみがいなくても困らないよ。またきみみたいな子を探せばいいだけだもん」
「わたしのかわりが出来るほど、先輩のことが理解できる後輩がこの世界にいるといいですね」
「言うて、きみも僕のことそこまで理解出来てないけどね」
そんなことないですよ。と返そうとした唇を動かさなかったのはわたしの理性。本当に彼のすべてを理解出来ているのか、と問われたら、言ってしまえば他人であるわたしが正確に「はい、理解出来ています」なんて解答できるはずがなかった。
「じゃあ、はい。僕の唯一の共犯者を騙るなら、きみもたくさん紙飛行機を作ろうね」
そう不採用通知を渡されたら、わたしは折らずにはいられない。どれもこれも似通った文面で、会社名と日付以外に違いなど見いだせなかった。



