どうか、先輩だけは幸せにならないで












 そんな、どこか上の空のわたしが気に入らないのか、つまらなそうに空を仰いだ先輩。





「お祈りメールも十通溜まったら、お焚き上げできるシステム導入されたら素敵じゃない?」





「ちょっと。急に話を変えないでもらってもいいですか?」





「先に話を変えたのはそっちだから、おあいこでしょ。それに僕は話を戻しただけだよ」





「じゃあ、聞いてもいいですか」






 なにを? と視線を下げ首を傾げた彼にそっと今度は地雷を踏んでしまわないように慎重に、それでいて大胆に口を開く。







「どうして不採用通知で紙飛行機なんて作っているんですか?」






「そうやってきみはまた僕の傷を抉っていくんだね」






 いや、別に今回は地雷を踏みたくて踏みぬいたわけじゃないですよ。と挽回をさせてもらえるわけもなく、どうしたものかと眉頭がくっつかんばかりに顔をしかめ、抱えこんだわたしの頭を軽々と先輩の手が撫でていった。






 秋空の下でずっと煙草を吸っていたからか、あたたかくはないけれど、わたしよりは大きな手のひらは不思議と安心感があった。