「でも、本当は先輩も強情なわたしの方が好きなんだって知っていますよ」 そうだ。たしか、あの鈍器になりえない重さの本を貸してもらったあたりから、先輩からたくさん連絡が来るようになった。頻度で言えば、毎日。 三六五日分のお呼び出しメッセージが今のわたしのスマートフォンには溜まっている。それは幸せと呼ぶにはすこし歪な形をしている気がした。