……うん。きっと、大丈夫。







 風邪を引いても、誰ももらってくれないけど。たまにまだご飯を多く作りすぎる時もあるけれど、きっと大丈夫。









 ねえ、先輩。









 あの日、傘が置いてあった机を撫でながら心の中でそっと呟くために息を吸う。






 ほのかに柚子の香りがしても、もうその奥からアルコールの芳香が放たれることはない。






 だって、この香りはわたしが買ったアロマの匂いだから。








 もう先輩の香りがこの部屋に漂うことはなくても大丈夫になれたんだなって、ちょっぴり今日は自分を褒めてあげようと思った。









 だからね、先輩。






 わたしだって、もう、傘はいらないよ。