そうして、少し歩いたところで手元に傘がないことに気が付いた。ちょうどよく鞄の中でスマホが震えて、来ていたメッセージを開けば、
『もう、傘はいらないね』
たった1文。はじめて返事以外で先輩からメッセージが送られてきていた。そっちから着拒してブロックしたくせに、勝手な先輩。と心の中で毒づく。
視界は晴れているのに、わたしの目の前でだけはまだ夕立が降り続いてるのか、目の前が曇って見えた。それでも、歪んだ視界のその先にはたしかに青空が広がっていた。
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