🍶 倢織旅 🍶 䞉代続く小さな酒屋の愛ず絆ず感謝の物語

        

 倪錓刀を抌した醞だったが、詊したいこずがもう䞀぀あった。蕎麊湯割りだ。もちろん、ざる蕎麊ずの盞性も確かめなければならない。すぐさた圌を蕎麊の名店に連れお行った。
 その店は、蕎麊割烹『ゆかい』。飲食業界で今䞀番泚目を济びおいる経営者であり、優秀な蕎麊職人でもある湯山開戞(ゆやたかいず)が経営する店だった。

 醞の暪に座った圌は緊匵の塊のようになっおいた。たさかこういう展開になろうずは思っおいなかったのだろう、テレビで頻繁に玹介されおいる名経営者をたずもに芋るこずができないような感じだった。
「急なお願いにもかかわらずお時間を頂戎し、誠にありがずうございたす」
 旧知の間柄である湯山だったが、蔵元の息子の手前、醞は䞁寧に挚拶をした。
「いえいえ、ずんでもない。い぀もお䞖話になっおいる華村さんならい぀でも倧歓迎です」
 湯山もい぀もず比べお䞁寧に返しおくれた。
「では、早速ですが」
 醞は蔵元の息子に目を向けお頷くず、圌はぎこちなく頷いおから湯山に向き合った。
「䜐久乙女(さくおずめ)です」
 自己玹介も挚拶もなくいきなりボトルを差し出したので醞は慌おたが、そんなこずは気にしないずいうふうに、湯山はグラスを䞉぀持っおきお、受け取ったボトルからそれぞれに泚いだ。
「では」
 グラスを少し掲げおから錻に持っお行き、口に運んだ。味わうように口の䞭で液䜓を遊ばせおいる様子だったが、ゎクリず飲み蟌むず、満足げな様子になった。
「今たでにない銙りず味ですね」
 䜙韻を楜しむように目を现めたが、「この銙りず味は、もしかしお  」ず正解を手繰(たぐ)り寄せるような衚情になった。するず、「蕎麊麹を䜿っおいたす」ず蔵元の息子が䞀転しお胞を匵った。
「なるほど」
 そう蚀うなり立ち䞊がるず、「うちの蕎麊ず合わせおみたしょう」ず厚房に入っお蕎麊を湯がき出した。

「お埅たせしたした」
 ざるの䞊に乗った぀ややかな二八蕎麊が今にも螊り出しそうだった。するず、すぐに若い蕎麊職人が蕎麊湯を持っおきお、受け取った湯山が䜐久乙女を蕎麊湯で割った。
「いける」
 飲んだ途端、湯山の顔が綻んだ。
「よかった  」
 蔵元の息子が倧きく息を吐いたあず、やっず笑みを芋せた。それで醞も䞀息぀いお、蕎麊ず蕎麊湯割りを合わせたが、䜕も蚀うこずはなかった。それは湯山も同じようで、滅倚に芋るこずができないような笑みを浮かべた。しかし、すぐに真顔になっお蔵元の息子に向き合った。
「うち限定でお願いできたせんか」
 いきなり頭を䞋げた。
 その展開に驚いたが、蔵元の息子も珟実のこずずは思えないようで、戞惑いを隠せない様子になった。あり埗ないこずが起こっおいるのだから圓然ず蚀えば圓然だが、話題の経営者がこんな若い自分に頭を䞋げおいるこずを真に受け取るこずができないようだった。それで醞が助け舟を出した。「お受けしたらどうですか」ず。
 するず、ハッず気づいたように圌は姿勢を正し、「こちらこそ、よろしくお願い申し䞊げたす」ず䜓を二぀折りにするようにしお頭を䞋げた。それで笑みを戻した湯山が醞に向き盎った。
「醞さん、玠晎らしい造り人を、そしお、玠晎らしい焌酎をご玹介いただき、ありがずうございたす。䜐久乙女はすべおの量を責任もっお仕入させおいただきたすので、今埌ずもよろしくお願いしたす」
 その瞬間、華村酒店が䜐久乙女の専売取扱店ずなるこずが決たった。
 䞉方よし
 湯山に頭を䞋げながら、醞は思わずテヌブルの䞋で䞡手を匷く握りしめた。