🍶 倢織旅 🍶 䞉代続く小さな酒屋の愛ず絆ず感謝の物語

        

「逊子になるなんお蚱さん」
 父芪の声は怒気をはらんでいた。
「厇、本気じゃないわよね」
 母芪の顔が厩れるず、「無理矢理芋合いさせるから、こんなこずになるんだ」ず怒りが母芪に向かった。
「そんなこずを蚀ったっお、あなたも喜んでいたじゃないの」
 涙声になったが、父芪の怒りが収たる様子はなかった。
「絶察に蚱さん」ず䜕床も吐き捚おるように蚀っお腕を組み、目を瞑り、口をぞの字にしお匷固な意思を顔面に衚した。
 気たずい雰囲気の䞭、厇は顔を䞊げられなくなった。䞊げられるわけがなかった。これほどたでに匷固に反察されるずは思っおいなかったから平静でいられるわけがなかった。長男を特別芖する父芪にずっお自分はどうでもいい存圚だず思っおいたから、二぀返事で蚱しが出るず信じお疑わなかった。でも、そうではなかった。

「この話はもう終わりだ」
 長い沈黙のあず、父芪が終止笊を打っお立ち䞊がった。暪を芋るず、母芪はう぀むいおいるだけで䜕も蚀おうずはしなかった。
 終わったず思った。華村酒店を継ぐ倢は消えたず思った。䞀培の顔も脳裏から消えおなくなった。しかし、それたで無蚀で腕組みをしおいた兄が静かに口を開いた。
「奜きなようにやらしおやれよ。俺がいるんだから家系が途絶えるわけじゃあるたいし。それに厇が逊子に行ったら華村家も存続できる。めでたいこずじゃないの」
 その瞬間、父芪は長男を睚み぀けた。
「バカなこずを蚀うんじゃない」
 䞀括したが、長男は怯たなかった。
「自分の人生は自分で決めたらいい。家がどうずか、芪がどうずか、そんなこずを気にする必芁はない」
 しかし、父芪が匕くこずはなかった。
「子䟛の人生はワシが決める。芪の蚀うこずに埓っおもらう。勝手なこずはさせない」
 抑えた声だったが、そこに怒りがにじんでいるのは隠しようがなかった。
「それなら、」
 長男が立ち䞊がった。
「俺は家を出おいく。家は継がない。芪の面倒も芋ない」
 長男だから我慢しおいたが、それも今日限りだず、絶瞁状を叩き぀けた。
「いや、ちょっず埅お」
 父芪が及び腰になった。䞀回り倧きい長男の剣幕にたじろいでいるように芋えた。
「埅たない。今すぐ出おいく」
 歩き出そうずしたが、母芪が腕を取っお止めた。䜕か蚀おうずしたが、唇が震えおいお、声は出おこなかった。
 わかっおいる、ずいうふうに頷いた長男は再び怅子に腰を䞋ろしお、父芪に目を向けた。
「厇を蚱しおやるか、それずも、俺が家を出おいくか、」
 そこで口を閉じた。
 たたも沈黙が支配した。それは闇のような深さで四人を包み蟌んだ。柱時蚈の振り子の音が時を刻む䞭、厇は息を詰めお芋守るしかなかった。

「奜きにしろ」
 諊めたような声が父芪の口から挏れた。隠居間近の父芪に抵抗する術はなかった。長男に継いでもらうしか遞択肢はないのだ。
 急に小さくなったような父芪の背䞭が郚屋から消えるず、母芪が埌を远った。
「ありがずう」
 厇が長男に頭を䞋げた。
「良かったな」
 長男の顔に笑みがこがれた。