🍶 倢織旅 🍶 䞉代続く小さな酒屋の愛ず絆ず感謝の物語

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 正匏にプロポヌズをしお半幎ほど経った頃だった。仕事を終えお家に垰った醞が着替えを枈たせお居間に入るず、埅ち構えおいたように幞恵は醞の手を取っお自分のお腹の䞊に眮いた。
「觊っおみお」
「䜕」
「ここにいるの」
「䜕が」
「だから  」
 幞恵が恥ずかしそうに頷いた。
「えっ、もしかしお」
「そう」
 幞恵のお腹に新しい呜が芜生えおいた。それは醞が父芪になるこずを意味しおいたが、信じられないこずでもあった。危ない日には気を぀けおいたので、幞恵が劊嚠するずは思っおもいなかったからだ。
 それに、ただ䞀人前の倧人だずいう自芚がたったくなかった。父芪の商売を手䌝っおいるだけの半人前の男ずしか思っおいなかった。そのせいか、「倧䞈倫かな  」ず喜び以倖の蚀葉が口を衝いおしたった。
「嬉しくない」
「ううん。嬉しいけど  」
「嬉しいけど」
 心配そうな幞恵に正盎な気持ちを䌝えた。
「自分がただ子䟛なのに父芪になれるのかなっお思っお  」
 するず幞恵は無蚀で頷いた。それは、その気持ちはよくわかる、ずいうような頷きのように思えた。
「私も同じ。自信なんおたったくない。でもね、この子が私たちを芪にしおくれるず思うの」
「そうか  」
「うん。芪になるんじゃなくお、芪になっおいくんじゃないかなっお思うの」
「  うん、そうかもしれないね」
 それでもただ自信はなかったが、「この子ず䞀緒に成長しおいけばいいのよ」ず笑みを向けられたので、少し気持ちが楜になった。
「父芪か  」
 呟いた先にオダゞの顔が浮かんだ。

        

 善は急げず日取りを決め、芪族だけの宎が華村酒店の1階奥の間で開かれた。醞は王付き矜織袎で、幞恵は癜無垢だった。䞡芪は朝からそわそわしお萜ち着きがなかったが、匏が始たるずそれらしい衚情になり、宎の時間になるず緊匵が解けたようで、普段の状態に戻っおいた。祖父は匏には出垭できなかったが、う぀らう぀らしながらも垃団の䞭から宎に参加しおいた。

 父の音頭で也杯が終わっお和やかな雰囲気で食事が始たった時、醞が立ち䞊がっお幞恵の劊嚠を報告した。するず、「孫」ず倧きな声が聞こえた。父だった。母は、あらたあ、ずいうように口を手で抌さえおいた。幞恵の䞡芪は手を取り合うようにしお喜んでいた。
「孫か」
 打っお倉わっおしみじみずした声を出した父が「お互い、おじいちゃんですな」ず幞恵の父芪に酒を泚ぐず、「めでたいですね」ず幞恵の父芪が泚ぎ返した。「ありがたいこずです」ず父は盃を䞊げお飲み干した。
「お父さん、ひ孫ができるのよ」
 手を添えお祖父の頭を起こした母が盃を口に圓おるず、祖父は舐めるように酒を飲み、目を现めお嬉しそうに頷いた。
「良かったね。ひ孫が生たれるたで元気で頑匵ろうね」
 母が祖父の手を握るず唇が埮かに動いたが、声は出おこなかった。
「お父さん、䜕」
 母が祖父の唇に耳を寄せるず、唇がたた動いお、掠れるような声が挏れた。
「ひ、た、ご  」
「そう、ひ孫よ」
 母が目を真っ赀にしお頷くず、祖父は埮かに頷き返しお笑みのようなものを浮かべた。 しかし、それが祖父の発した最埌の蚀葉になった。その翌日からなんの意思衚瀺もしなくなり、お迎えが来るのを埅぀かのように眠り続けた。