「まぁ、そんな感じだったんだよ。だけど、なんか急に昔の先生を思い出して、ああいう人になりたいって思ったから、今こうなれてるの」
結局、変な理屈でまた高校進学を進められるのかと思って話を聞いていた。
けれど、違った。
「だから、僕はそれでいいと思う」
「…は?」
ふふ、と、竹は笑って続ける。
「亮芽くんが入学してすぐ、僕思いっきり殴られたんだよ」
「それがなんだよ、だってあのときは」
「まぁまぁ。でもそれで、もっとこの子はどういう子なのか知りたい、それで中学卒業してもこの子らしくやっていけるようにって思って、ずっと監視するみたいに付きまとっちゃった」
どうやら竹は、俺が中学卒業後ものびのび生きられるように、今できるだけの矯正をしてくれていたらしい。
ずっとストーカーしてるかと思ってたけど、そういうことだったってこと?
「だから、暴力も減ったと思うし、授業中教室の外に出ていくこともなくなった気がする」
「あー、確かに…」
俺が大人になったから、よりも、竹が俺を大人にさせようとしてくれたから、今こうなっている。
そう思うと、なんだか心がぽかぽかした。
「竹って、ただの教師みたいなストーカーかと思ってた」
「え、僕ってもう教師ですらなくなってるの…?」
俺は久しぶりに、笑って言った。
「なんかちょっとだけ、やる気出た気がするわ」
空を仰げば、透き通った青が俺を見つめていた。
すると、竹がなぜか口を押さえて、うるうると俺を見つめている。
「…亮芽くん、そう笑うんだねぇ…!目を細めて、ニッてはにかむ感じで…」
「うるせー黙れ!!!」
竹はキモいけれど、ちゃんと「教師」なんだな。
しかし、竹はこれだけで終わらせてくれる人間ではない。
「僕、この学校で亮芽くんのこと一番知ってる気がする。ちなみに今日の放課後にゲーセン行くことも知ってる」
「え、なんで言ってねーのに…」
ニヤ、と、怪しげに竹は微笑む。
「そんな感じで、僕、亮芽くんがこれから行く所知ってるからね。逃げられないから」
急に、また恐怖が込み上げてくる。
やっぱりキモい。あんなに良いこと言っておいて、キモい。
逃げられないから、ってなんだよ。何様だよ。
「…卒業まで、よろしくね」
竹林先生。
やっぱりあなた、元ストーカーですよね?
「…まじで、キモすぎんだけど」
いや、ただの元ストーカーじゃないかもしれない。
竹林先生は、ストーカー気質で、ずっと俺についてくる。
好き嫌い、その他の俺が知らないようなことまで、こいつは全部知っている。
ヤバい教師。
もとい、多分「元」ストーカーのプロ。
結局、変な理屈でまた高校進学を進められるのかと思って話を聞いていた。
けれど、違った。
「だから、僕はそれでいいと思う」
「…は?」
ふふ、と、竹は笑って続ける。
「亮芽くんが入学してすぐ、僕思いっきり殴られたんだよ」
「それがなんだよ、だってあのときは」
「まぁまぁ。でもそれで、もっとこの子はどういう子なのか知りたい、それで中学卒業してもこの子らしくやっていけるようにって思って、ずっと監視するみたいに付きまとっちゃった」
どうやら竹は、俺が中学卒業後ものびのび生きられるように、今できるだけの矯正をしてくれていたらしい。
ずっとストーカーしてるかと思ってたけど、そういうことだったってこと?
「だから、暴力も減ったと思うし、授業中教室の外に出ていくこともなくなった気がする」
「あー、確かに…」
俺が大人になったから、よりも、竹が俺を大人にさせようとしてくれたから、今こうなっている。
そう思うと、なんだか心がぽかぽかした。
「竹って、ただの教師みたいなストーカーかと思ってた」
「え、僕ってもう教師ですらなくなってるの…?」
俺は久しぶりに、笑って言った。
「なんかちょっとだけ、やる気出た気がするわ」
空を仰げば、透き通った青が俺を見つめていた。
すると、竹がなぜか口を押さえて、うるうると俺を見つめている。
「…亮芽くん、そう笑うんだねぇ…!目を細めて、ニッてはにかむ感じで…」
「うるせー黙れ!!!」
竹はキモいけれど、ちゃんと「教師」なんだな。
しかし、竹はこれだけで終わらせてくれる人間ではない。
「僕、この学校で亮芽くんのこと一番知ってる気がする。ちなみに今日の放課後にゲーセン行くことも知ってる」
「え、なんで言ってねーのに…」
ニヤ、と、怪しげに竹は微笑む。
「そんな感じで、僕、亮芽くんがこれから行く所知ってるからね。逃げられないから」
急に、また恐怖が込み上げてくる。
やっぱりキモい。あんなに良いこと言っておいて、キモい。
逃げられないから、ってなんだよ。何様だよ。
「…卒業まで、よろしくね」
竹林先生。
やっぱりあなた、元ストーカーですよね?
「…まじで、キモすぎんだけど」
いや、ただの元ストーカーじゃないかもしれない。
竹林先生は、ストーカー気質で、ずっと俺についてくる。
好き嫌い、その他の俺が知らないようなことまで、こいつは全部知っている。
ヤバい教師。
もとい、多分「元」ストーカーのプロ。



