「竹、じゃなくて、いい加減ちゃんと竹林先生って呼んでくれよ」
うわ、オジサンっぽいノリ来た。
「竹林先生、って長くてめんどくせえんだよ、呼ぶの」
そう言うと、どうしてか竹は嬉しそうな顔をして、何か思いついたような雰囲気になる。
「そういえば、亮芽くんはいろんな先生の名前が難しい漢字だから読めないって言ってたよね。じゃあ、僕が初めて名前を呼ばれたってことかぁ」
…キモすぎるだろ、この人。
「何考えて言ってんすか」
俺は誤魔化すように、コッペパンを一口かじった。
「いやぁ、そうじゃない?なんかずっとなめられてる感じはあるけど、一応教師として見てもらえてはいるんだっていうか…」
「うるせー、あとは一人で喋ってろ。俺食い終わったんで」
早くこの場から退散したかった俺は、食べる気が失せてしまったスイカを竹のおぼんに乗せて、教室に帰った。
あいつ、本当にそのままあそこ居たら倒れそうだな。
「え、ちょっ、待ってよ!あ、サラダ残してるし!ちゃんと食え!!」
「急に先生っぽくなんのやめろよ、めんどくせーな」
「だから教師なんだよ僕!!」
はいはい、無視無視。教師じゃねーだろ、ストーカーだろ。
俺はそんなストーカーに絡まれる日々を繰り返している。
何日かして、より夏の暑さが増してきたとき。
授業中に寝ていた俺に、竹が何か話しかける。
「亮芽くんって、給食のサラダいつも食べてないでしょ。特にきゅうりと、キャベツの茎の部分、あれ綺麗に残して食べるよねぇ」
「…ん?…うわぁキモ!!」
せっかく気持ちよく寝てたのに、こいつのせいで最悪な目覚め。
しかも起きろとか怒鳴るんじゃなくて、俺の細かいところまで知ってますよみたいに囁くのがキモすぎる。
なんかニヤニヤしてるし。本当にこいつ教師かよ。
「うふふ。二十三分五十四秒間寝てました」
いや、みなさんが静かになるまで五分かかりましたとかいう本当かわかんねーやつはあるけど。
その正確さが怖えんだわ。
しかもうふふって。普通に寝顔見て笑ってるヤバいやつじゃん。
「ちゃんと授業は聞くだけ聞いててよー」
そう言って、また竹は黒板にカツカツと文字を書き始めた。
ふと、俺は思う。
竹は、授業を受けることを徹底的に強要してこない。
なんでだろう。
どうせ俺が暴走するのがめんどくさいから、教える気ねーんだろーな。
小学校の頃は先生が三人がかりで俺を机から動けないようにしていたけれど、中学校に入ってから、なぜかそれはなくなった。
中学に入ってもっと厳しくなるかと思ってたけど、案外そうじゃなくて。
小学校よりも全然速いスピードで、俺はもう卒業を控えた三年生となっている。
うわ、オジサンっぽいノリ来た。
「竹林先生、って長くてめんどくせえんだよ、呼ぶの」
そう言うと、どうしてか竹は嬉しそうな顔をして、何か思いついたような雰囲気になる。
「そういえば、亮芽くんはいろんな先生の名前が難しい漢字だから読めないって言ってたよね。じゃあ、僕が初めて名前を呼ばれたってことかぁ」
…キモすぎるだろ、この人。
「何考えて言ってんすか」
俺は誤魔化すように、コッペパンを一口かじった。
「いやぁ、そうじゃない?なんかずっとなめられてる感じはあるけど、一応教師として見てもらえてはいるんだっていうか…」
「うるせー、あとは一人で喋ってろ。俺食い終わったんで」
早くこの場から退散したかった俺は、食べる気が失せてしまったスイカを竹のおぼんに乗せて、教室に帰った。
あいつ、本当にそのままあそこ居たら倒れそうだな。
「え、ちょっ、待ってよ!あ、サラダ残してるし!ちゃんと食え!!」
「急に先生っぽくなんのやめろよ、めんどくせーな」
「だから教師なんだよ僕!!」
はいはい、無視無視。教師じゃねーだろ、ストーカーだろ。
俺はそんなストーカーに絡まれる日々を繰り返している。
何日かして、より夏の暑さが増してきたとき。
授業中に寝ていた俺に、竹が何か話しかける。
「亮芽くんって、給食のサラダいつも食べてないでしょ。特にきゅうりと、キャベツの茎の部分、あれ綺麗に残して食べるよねぇ」
「…ん?…うわぁキモ!!」
せっかく気持ちよく寝てたのに、こいつのせいで最悪な目覚め。
しかも起きろとか怒鳴るんじゃなくて、俺の細かいところまで知ってますよみたいに囁くのがキモすぎる。
なんかニヤニヤしてるし。本当にこいつ教師かよ。
「うふふ。二十三分五十四秒間寝てました」
いや、みなさんが静かになるまで五分かかりましたとかいう本当かわかんねーやつはあるけど。
その正確さが怖えんだわ。
しかもうふふって。普通に寝顔見て笑ってるヤバいやつじゃん。
「ちゃんと授業は聞くだけ聞いててよー」
そう言って、また竹は黒板にカツカツと文字を書き始めた。
ふと、俺は思う。
竹は、授業を受けることを徹底的に強要してこない。
なんでだろう。
どうせ俺が暴走するのがめんどくさいから、教える気ねーんだろーな。
小学校の頃は先生が三人がかりで俺を机から動けないようにしていたけれど、中学校に入ってから、なぜかそれはなくなった。
中学に入ってもっと厳しくなるかと思ってたけど、案外そうじゃなくて。
小学校よりも全然速いスピードで、俺はもう卒業を控えた三年生となっている。



