木たちが騒いでいる。

恐ろしいものがやってくる、と恐れているんだ。

ざわざわと、いつ、どこで、なにが、と互いに揺れて危険を知らせる。

そんな木たちの一人が、傷ついた。

恐ろしいと言われる魔術師が傷をつけたんだ。

誰も癒してくれない。

「所詮お前らはそういう生き物なんだ」

と言っている。

ケラケラ笑って細く笑む。

誰も助けになんか来ない。

誰もお前を癒してくれる人なんざいないと笑う。

「どうしたの?」

そんな中に、訪れた人がいた。

「大丈夫?・・・・・ほら、これなら大丈夫だよ」

そう言って傷を癒してくれた。

可愛い人だ。

笑った顔が何よりも美しく感じる。